平成16年2月定例県議会 一般質問・答弁要旨
山下 私は、自由民主党の立場から、今定例県議会に提出されました案件並びに県政一般について、短い時間でありますが、質問させていただきます。
 山本知事におかれましては、厳しい財政事情に加え、国と地方の税財源を見直す三位一体改革の影響の中、観光立県山梨の確立を目指し、本年を観光元年と位置づけ、新しく観光部を新設されることを表明されました。
 創造性豊かな組織体制をおつくりいただき、山梨県の春を演出する桃の花のような、日本一の観光地というすばらしい花を咲かせ、育て上げていただくことを願いつつ、以下、質問に入らせていただきます。
 
1.観光行政を推進するための県庁組織のあり方について
山下
 まず、観光行政を推進するための県庁組織のあり方についてお伺いいたします。
 訪れる人々が心地よいと感じることができる地域は、そこに住む住民、県民にとっても、暮らしやすい地域であると思います。
 そういう意味から、観光立県という考え方は、県民福祉の向上という観点からも評価できると考えます。
 静岡県では、ユニバーサルデザインの理念を県政の中心とし、企画部に担当部署を設置し、県政のあらゆる分野にその理念を広げております。山本知事が大きな夢を乗せて目指す観光立県の考え方を県政の中心とする考え方なら、静岡県の取り組みは大いに参考になると考えます。
 つまり、総合的な観光行政を進めていくには、今までの事業をただ再編するだけでは、今回の部署を新設する意味がありません。
 真の観光地づくりは、経済、環境、建築、文化などの専門知識を結集し、こうした専門性を活用しながら、超一流の観光地づくりを目指した総合的プロデュースを行うことが必要であり、ドイツのバーデンバーデン市などは、こうした取り組みの先駆けとして世界有数の観光地としての地位を築いております。
 このように考えると、本県においても、先進的な観光行政を行っていくには、形ばかりでなく、観光部に十分な企画・調整能力を持たせることが必要です。県庁全体として戦略的に観光施策の展開を図っていくことにより、山梨県を訪れる方々の顧客満足度を高めるような施策を行っていくことができるはずです。ひいては、従来の管理型行政運営から脱却し、経営型行政運営への転換ができるのではないでしょうか。
 このような効果を引き出すことができるよう、観光部には十分な機能を持たせ、山梨県の観光をリードするという意欲と情熱を持った、高い見識と時代のニーズを見通すことのできる部門へと発展していただきたいと思います。
 そこで、このような目的を達成すべく、観光部にはどのような企画・調整機能を持たせるのかお伺いします。
 
山本知事 山下議員の御質問にお答えいたします。
 ただいまは、観光行政の推進に御期待を賜りながら、「観光」に焦点を当てて御質問をいただきました。
 私は、山梨の魅力を国内外に積極的に発信し、観光立県「富士の国やまなし」の確立に向け、全力を傾注してまいりますので、一層の御支援、御協力をお願い申し上げます。
 初めに、観光行政を推進するための県庁組織のあり方についてであります。
 三千メートル級の山々に囲まれた本県は、日本のランドマークというべき富士山を初め、四季折々の姿を変える美しい景観や、森や湖など豊かな自然に恵まれております。
 また、全国屈指の果樹王国であり、日本一の生産量を誇るワインや宝飾など、特色ある地場産業を数多く有しております。
 これらは、首都圏に位置するという立地特性とあわせまして、観光立県における最大の財産であると思います。
 県は、これまでも、観光を重要産業と位置づけまして、商工業、農林業、自然環境、文化など、多くの分野でその振興につながる事業を実施してきましたが、必ずしも統一したコンセプトのもとで行われてきませんでした。
 このため、新設する観光部には、各部局で実施する観光関連事業について、それらがより有機的、効果的に行われるよう、産業間の連携強化、観光資源の開発と保護、山梨県の認知度の向上、観光振興を支えるインフラ整備などの企画・調整機能を持たせることとしております。
 また、全庁的な推進体制を確立するため、私を本部長とする庁内推進本部を設置し、観光行政を総合的に推進することとしております。

2.観光行政を推進するための施策について
山下
 次に、観光行政を推進するための施策についてお伺いいたします。
 これまで、観光行政は、観光キャンペーンなどのPR事業と観光客招致のためのイベント開催が柱であったと思います。情報化社会において、行政主導の観光キャンペーンにどれほどの効果があったか、再度、考える時が来ていると考えます。イベントにしても瞬間的な集客にしかならず、マンネリ化した行政主導のイベントは、その集客力にも疑問が残ります。
 行政の行うイベントこそ、岩手県が観光課を廃止し、一部業務を県観光協会に役割を再編したように、民間の活力を利用することも考えられるのではないでしょうか。
 行政が行うべきは、観光客が山梨県に持つイメージに合った山梨づくりをどのように演出し、どのようにつくり出していくかということではないでしょうか。
 既に湯村温泉郷と下部温泉郷では、観光業者や住民が一体となり、観光客のイメージに合った美しい町並みづくりを目指した取り組みが行われています。
 また、石和温泉郷においても、その中心を流れる近津用水を生かした潤いある景観づくりが始まろうとしています。
 県としては、このような地域の取り組みに対して積極的な支援を行っていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、富士北麓や八ヶ岳南麓などすぐれた自然環境を求めて観光客が訪れますが、観光地によっては、過去の無秩序な開発やごみの不法投棄などにより、遠くから眺める分には美しいが、近くに寄ればがっかりといった状況も見受けられます。
 真に観光立県山梨を掲げるからには、民間活力を生かし、住民の協力を引き出す地道な取り組みと、自然環境、景観を守る取り組みが必要と考えます。
 この取り組みこそ、単独の市町村ではおのずと限界があり、広域的な地方自治体である県の果たす役割と考えますが、御所見をお伺いいたします。

 山本知事 最後に、観光行政を推進するための施策についてであります。
 全国の観光地との厳しい競争に打ち勝つためには、多様化する現代の観光ニーズを踏まえた個性化や資源の掘り起こしなど、他の地域にない観光地づくりを図る必要があります。
 既に県内の幾つかの地域では、魅力ある観光地づくりに向け自主的な取り組みが進んでおります。
 明年度からは、このような意欲ある市町村や地域の人たちの自主的、一体的な取り組みについて、「魅力ある観光地づくりモデル事業」として計画づくりや基盤整備などを重点的に支援することとしております。
 また、本県のすぐれた自然環境や景観を守るため、ごみの持ち帰り運動や観光地の美化清掃に努めるとともに、市町村や関係団体との連携により、不法投棄防止の普及・啓発やパトロールを実施しているところであります。
 さらに、地域住民による景観形成住民協定を推進し、観光地等における美しい町並みづくりも進めております。
 今後とも、自然環境や景観に配慮した魅力ある観光地づくりを目指してまいります。
 以上をもって私の答弁といたします。その他につきましては、担当部長から答弁いたさせます。

3.フィルム・コミッションについて
山下
 次に、フィルム・コミッションについてお伺いいたします。
 地域の観光宣伝の一つの方法として、近年、映画やテレビのロケーション撮影を支えるフィルム・コミッションが注目されています。
 撮影にはさまざまな許可や申請が必要となることから、こうした手続の窓口や許可申請等の代行を地方公共団体が行うことで、撮影を行う側にとって煩雑な手続に関する負担を軽減することができるとともに、撮影の舞台として使われることで、その放映を通じて地域のPRをし、撮影期間においては撮影現場が観光地と変わっていくのです。
 また、撮影期間中は、直接的に地域経済の活性化につながることで、地方公共団体側のメリットとして見込むことができます。
 撮影だけではなく、その地域の景観の写真、プロモーションビデオ等のメニューを用意し、山梨のすばらしさを提供できる要素もあるはずです。
 映画やドラマの影響力を考えると、ロケ地に採用されることの効果は大きく、このため、全国フィルム・コミッション協議会に六十を超える各地のフィルム・コミッションが登録し、ロケの誘致のための努力が繰り広げられています。
 こうした競争に勝ち残っていくには、対外的に積極的な売り込みをする部門と、具体的なロケ地の掘り起こしや許可申請等の代行等を担当する部門が相互に連携し、全国に、また世界に売り込んでいくことが重要であります。
 しかし、全国フィルム・コミッション協議会に登録している六十一団体のうち、十五団体が都道府県規模、残りの四十六団体は市町村規模となっています。
 本県の状況を考えると、市町村単位の組織で運営することは、財政面でも、またエキストラ等の要請にこたえるといったサービス面でも、十分な対応ができるのか危惧する点があります。
 当然、他の近県の団体からの協力をお願いすることも考えられますが、本県はこのフィルム・コミッションをどのような組織体制でつくり上げていくのか、また、市町村とどのような役割分担にしていくのかお伺いいたします。

 商工労働観光部長 山下議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、フィルム・コミッションについてであります。
 明年度から本県におきましてもフィルム・コミッションに取り組む姿勢を明らかにしたことから、この一カ月余りの間に既に五件のロケーション撮影の相談をいただいております。
 ロケーション撮影の誘致は、地域の知名度の向上のほか、撮影隊の滞在に伴う直接的な経済効果や、観光客の増加による間接的な経済効果、さらに地域の魅力の再発見などの効果が期待できるものであります。
 そこで、ロケーション撮影の誘致をより積極的に推進するため、観光のみならず、公共施設や道路など、撮影とかかわりがある部署による連絡組織を庁内に設けるとともに、専任職員を配置し、撮影の相談に迅速に対応できる受け入れ体制を整えることとしております。
 また、県内における撮影相談の総合的な窓口として、市町村の担当部署との連携を密にし、最新の県内各地の情報の集積やホームページでの情報発信を図ってまいります。
 さらに、「全国フィルム・コミッション連絡協議会」や都内に設置を予定いたしております「富士の国やまなし魅力発信センター」との連携を図りながら、ロケーション撮影の誘致や撮影が円滑に進むよう支援に努めてまいります。

4.観光ボランティアガイド育成事業について
山下
 最後に、観光ボランティアガイド育成事業についてお伺いいたします。
 今年度予算に新規事業として観光ボランティアガイド育成事業が予定されています。お話を聞くと、県民挙げての「もてなし」の推進の一環として、甲府市舞鶴城に新たに稲荷櫓が完成することに伴い、観光ボランティアガイドの育成を図るとのことであります。
 富士河口湖町のように、昨年四月から「ふるさとガイド」や、本年四月から公認ネイチャーガイド「樹海ガイド」を誕生させる取り組みもありますが、こうした意欲的な市町村の取り組みを見ると、舞鶴城のガイド育成に限らず、県全体の観光地を考え、おもてなしの心を具体化できる県公認のガイドマスターを育成・認定したり、市町村におけるこうした取り組みを助成したりしていくべきではないでしょうか。
 県が認定したガイドを各市町村に登録し、山梨に来た方々、また山梨のホテルに滞在した方々に対し、希望があれば同行し、案内していくことなども考えられるのではないでしょうか。富士河口湖町における「ふるさとガイド」という施策は、まさにこの考え方を具現化し、山梨の観光地に欠けているものを補う施策として評価できます。
 県としてガイドを育成する事業を行うなら、高い見地に立って、おもてなしの心を持つガイド育成について県を挙げて考える必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

商工労働観光部長 次に、観光ボランティアガイド育成事業についてであります。
 県民挙げて来訪者を温かく迎え、そうした中での地元の人たちとの触れ合いが、多くの山梨ファンの獲得につながるものと考えております。
 特に、地域を愛する人が心を込めて地域の自然や観光地の案内や解説ができれば、何よりのもてなしになります。明年度の観光ボランティアガイドの育成への取り組みを契機として、各地で、地域の人たちが、自主的に地元の観光名所はもちろんのこと、歴史的資産や地域ではぐくまれてきた文化などを、多くの方々に紹介したいという思いを持っていただくことが、「もてなしの心」の芽生えであると考えます。
 また、こうした機運の向上により、県内各地に観光ボランティアガイドが数多く誕生し、ガイド活動が活発に展開されることを期待しているところであります。
 今後は、それらの組織のネットワーク化やガイドマスターの育成などについて、検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。


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