平成16年9月定例県議会 一般質問・答弁要旨
山下 私は、新自由民主党の立場から、今定例県議会に提出されました案件並びに県政一般について質問させていただきます。
 最近、武士道という言葉をよく耳にいたします。NHKの大河ドラマ「新選組」の中で、若い青年が新しい時代を夢見、まことの武士道を追い求める姿が描かれ、また、書店では、新渡戸稲造氏が著した「武士道」をビジネスマンの方々が手にとっている姿をよく目にいたします。
 バブル経済の崩壊後、経済発展を追求するための行動規範は崩れ、空洞化した日本人の心に飛び込んできた新たな心のよりどころ、それが過去の遺産として忘れられようとしていた武士道精神であったのかもしれません。心の豊かさを真に追い求め、活力をもたらすのは精神であると気づき始めたのだと言えます。
 武士道とは、読んで字のごとく、もののふの道、武士が守るべきものとして要求される、あるいは教育を受ける道徳的徳目の作法であります。
 新渡戸稲造氏いわく、武士道の光り輝く最高の支柱は「義」の心であります。たとえみずからが不利益をこうむるとしても、他人に対する思いやりを忘れることなく、勇気と忍耐を持って、人として正しい道を守る。まさに義の精神こそが、武士道の真骨頂なのだと思います。
 ところで、義の精神と似て非なる言葉に「義理」があります。新渡戸氏は、「義理」とは、世論が期待する漠然とした義務感を意味するものと述べています。
 私は、県議会議員としての使命を果たしていく上で、真に正しい道を判断せぬまま、非難を恐れ、「義理」に従う臆病者に堕落することは、厳に戒めなければならないと考えております。
 今後も、県民を真に思い、勇気を持った決断をすることができるよう、「義」の精神を忘れず、正しい道を守っていきたいと思います。
 それでは、以下、質問に入らせていただきます。
 
1.介護保険制度の運用について
山下
 初めに、介護保険制度の運用についてお伺いいたします。
 利用者本位の理念のもと、平成十二年四月にスタートした介護保険制度も、既に四年六カ月が経過し、利用者が自由な選択によりサービスを受けるという仕組みが、介護の不安にこたえる社会システムとして県民の中に定着してきたところであります。
 少子高齢化が急速に進行する中で、今後も高齢者の方々が住みなれた地域で、尊厳を持って暮らす社会を築くためには、介護保険を将来にわたって持続可能な制度として確立することは大変重要であります。
 このため、現在、国は介護保険導入後五年を節目とした制度の大幅な見直しを進めております。この中では、被保険者の対象年齢の引き下げなど、国民への新たな負担増も論議されております。
 国民の負担については、今後さらに論議がなされる必要があると思いますが、制度運用についての国民の理解と信頼が得られていて初めて、国民に負担を求めることができるものであることを踏まえれば、サービス事業者によって適切なサービス費に基づく良質なサービス提供が、確実に実施されていることが求められるものと考えます。
 しかしながら、先般、他県において数億円に上る報酬返還があるなど、相変わらず事業者による報酬の不正受給が後を絶たないのが実情でございます。
 また、このほど県がまとめた昨年度の事業者指導結果においても、対象事業所のほとんどが何らかの是正改善指導を受けており、請求ミスによる介護報酬の返還も二千五百万円余に上るとのことであります。このことは、介護保険制度に対する県民の信頼を損ねることにもなりかねません。
 対等の契約に基づくサービス提供とはいえ、事業者と高齢者との間に情報量の違いがあるなど、介護を必要とする高齢者が弱い立場に置かれる場合も多いのが実態です。
 しかしながら、市町村では、ケアプランの内容の管理・把握がほとんどなされておらず、また、ケアプランに対する実施状況が十分に把握されていないという県民からの批判の声も耳にいたします。
 事業の実施状況を適切に把握すべき立場にある県は、高齢者の立場に立って、安心してサービスが受けられる仕組みを築く必要があると考えます。
 そこで、既に介護費用適正化特別対策事業として、介護給付の適正化を図る取り組みも行われていると聞いていますが、今後、県は、高齢者が安心してサービスを受けられる仕組みづくりについて、どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。
 
山本知事 山下議員の御質問にお答えいたします。
 ただいまは、新渡戸稲造がその著書「武士道」で説いている「義」の精神の重要性に触れ、県議会議員としての信条を披瀝されながら、県政各般にわたり御質問をいただきました。
 今後とも、県民挙げて参画する県政を推進し、心豊かな未来の山梨づくりに取り組んでいきますので、一層の御支援、御協力をお願い申し上げます。
 初めに、介護保険制度についてであります。
 介護保険制度に対する国民の信頼を得るためには、高齢者が安心して良質なサービスが受けられるようにすることが重要であると考えています。
 このため、介護保険事業者の新規指定や実地指導等において、運営基準等の遵守やサービスの質の向上の徹底を図っているところであります。
 昨年度の指導結果を見ますと、介護報酬の架空請求などの悪質・不正な事例はなかったものの、制度への理解不足による不適正な請求事例がありました。
 その内容は、利用者へのケアプランの説明・交付を怠ったり、職員の欠員等による減算を行わなかったことなどであり、利用者の処遇においてはケアプラン内容が不十分なものがほとんどでありました。
 こうした現状を踏まえまして、不適正な請求に対しては、速やかな返還や再発防止のためのチェック体制の強化を、ケアプランについては、個々の利用者の状態に即した計画とするよう指導をいたしております。
 また、本年度から稼動した県国民健康保険団体連合会の「介護給付適正化システム」を活用することにより、給付の実態を詳しく分析し、より効果的な実地指導に努めるとともに、不正や不適正な疑いのある請求があった場合は、迅速かつ厳格に対応をしていきます。
 さらに、サービスの自己評価の実施・公表や「情報開示の標準化」事業など、事業者情報を開示する仕組みづくりを進め、利用者の情報不足を解消し、サービスを適切に選択できる体制を整備していきます。
 こうした取り組みを通し、介護保険制度の理念である利用者本位のサービスの確立に向け、積極的に取り組んでいきます。

2.精神障害者の在宅・施設福祉サービスの充実について
山下
 次に、精神障害者の在宅・施設福祉サービスの充実についてお伺いいたします。
 複雑・多様化した現代社会においては、さまざまなストレスにさらされ、心の病に苦しむ人が増加しており、精神障害者施策の充実が求められております。
 しかし、平成五年になって初めて「障害者基本法」が成立し、精神障害がこの法律の対象として明確に位置づけられたという経過も承知しておりますが、精神障害者については、他の障害に比べ、いまだ社会復帰施設や福祉サービス等の基盤整備がおくれているのではないかと思います。退院可能であるにもかかわらず、地域の受け皿がないために、精神病院に入院し続けなければならない社会的入院患者の退院も、十分進んでいない状況であります。
 精神障害者が社会復帰し、地域生活を送っていくためには、日常生活に適応できるような社会生活訓練の実施、住まいの確保、就労支援、在宅福祉サービスの充実、相談に応じた必要な指導・助言を行う支援体制の整備が欠かせないところであります。
 県では、平成十六年三月に策定した「新たなやまなし障害者プラン」において、四つの大きな施策展開の方向の一つとして、「精神に障害を持つ人の暮らしを充実するために」というテーマを掲げ、県内の社会的入院患者の退院や社会復帰の促進のために、必要な地域の受け皿の整備を積極的に推進されると聞いております。
 県として、精神障害者の在宅・施設福祉サービスの充実に対して、具体的にどのように取り組まれるのかお伺いいたします。

 山本知事 次に、精神障害者の在宅・施設福祉サービスの充実についてであります。
 精神障害を持つ人への施策については、「入院医療中心」から「地域生活中心」へと大きく転換されたことから、施設整備や福祉サービス等の基盤整備の推進が必要となっています。
 このため、社会復帰施設の整備を初め、ホームヘルプサービスの充実や就労に向けた適応訓練の実施など、地域での暮らしを支えるさまざまなサービスについて、数値目標を設定し、計画的な整備を進めています。
 その中でも、約四百名と推計される県内の社会的入院患者の退院や社会復帰を促進するために、受け皿となる生活訓練施設や福祉ホームなどの整備を図るとともに、こうした施設への体験入所など地域生活への移行支援を推進しているところであります。
 また、精神障害を持つ人が、生まれ育った地域で生活できるよう、必要な支援体制の充実のため、ケアマネジメント従事者を養成するとともに、保健、医療、福祉など関係機関のネットワークを拡充していく考えであります。
 このような取り組みに加え、精神障害に対する正しい知識の普及啓発活動を行い、精神障害を持つ人が地域で自立した暮らしを営んでいけるよう、在宅・施設福祉サービスの充実をより一層推進していきます。

3.高校改革について
山下
 次に、高校改革についてお伺いいたします。
 国際化、情報化、少子高齢化の進展を初め、産業構造・就業構造の変化、技術の高度化などの社会変化は著しく、高校の教育内容もこれらの変化に対応できるよう見直すことが求められています。
 また、高校進学率は飛躍的に向上し、中学卒業生のほぼ全員が高校教育を受ける今日では、生徒の学習実態や進路実態も非常に多様化しております。
 こうした中で、県教育委員会では、「山梨県高等学校整備新構想」に基づき、特色ある学科・コースや、総合学科高校、全日制単位制高校などの新しいタイプの高校を順次設置して、学校の選択幅を拡大するとともに、特色ある学校づくりに取り組んでおります。
 従来の高校は、特定の分野に偏らず、一般教養とともに、進路に必要な基礎的な能力を育成する普通科、そして、学科特有の専門科目を学び、目的意識の明確な生徒の学習ニーズにこたえる専門学科の二つに大別され、それぞれ教育内容の改善を重ね、成果を上げております。
 これらの二学科に加え、時代に即応する新しい学科である総合学科につきましては、生徒一人一人の能力・適正、興味・関心、進路希望等に柔軟に対応できる教育課程を備えた学科として、平成六年度から全国に設置が進められております。本県においては、既に甲府城西高校、北杜高校、富士北稜高校の三校が設置されたところであります。
 さて、現在、総合学科未設置の峡東、峡西南ブロックにおける今後の設置方針については、「第二次新しい高校づくり課題研究協議会」から、「普通科を含めた改編を検討」という方向性が示されましたが、これは既設の総合学科三校がいずれも専門学科の統合改編によるものであるのに対して、新しい設置形態であります。
 そこで、普通科を含む総合学科について、その改編後の教育内容及び特徴についてお伺いいたします。
 
教育委員会委員長 山下議員の高校改革についての御質問にお答えいたします。
 これからの高校教育は、急激な社会の変化の中、一人一人の生徒が将来に向けて自己の進路を主体的に選択できる力を育成することが求められています。
 このため、生徒の多様なニーズにこたえる新しいタイプの高校として、総合学科高校や全日制単位制高校などの設置を進めています。
 総合学科高校は、選択履修を通して普通教育及び専門教育を総合的に行う学校であり、全国では既に二百二十校が設置されています。その内訳は、専門学科のみによる改編が二四%、普通科を含めた改編が七四%という状況であります。
 本県における既設の総合学科高校につきましては、改編前の専門学科の特性を生かす中で、新たな時代の要請や地元のニーズ等に答える教育内容への改編を実施してきました。
 総合学科における普通科を含めた改編形態では、普通科の定型的な教育課程と総合学科の柔軟な教育課程とを融合させることにより、今までの普通科の枠を超え、多様な学習ニーズや進路実情にこたえる新たな教育システムを構築することができます。
 また、総合学科の特徴である系統的な進路学習において、まず生徒が目的意識を持ち、豊富な選択科目の中から自主的な学習計画を立てることにより、教育効果が高まり、個々の生徒の的確な進路の実現に資するものと考えています。
 今後の総合学科の設置に当たっては、普通科を含めた改編も視野に入れ、教育内容や学校規模、設置場所等について鋭意検討を行い、魅力ある高校づくりを進めていきたいと考えています。
 以上でございます。

4.新山梨環状道路の東部区間及びこれと関連する道路の整備について
山下
 次に、新山梨環状道路の東部区間及びこれと関連する道路の整備についてお伺いいたします。
 新山梨環状道路は、高速道路と一般道路を一体的に結ぶことにより、甲府都市圏における交通の円滑化を図るとともに、さらに、甲府市及び周辺市町村の連携を強化し、県内外の交流を活発にする道路であります。
 本県では市町村合併の取り組みが積極的に行われておりますが、新山梨環状道路の建設は、甲府都市圏はもとより、周辺市町村の新しいまちづくりの推進にも大きく寄与するものとして、重要性が高い事業であると思われます。
 私の住む石和町も来月の十二日に合併し、人口約七万人を擁する笛吹市となります。笛吹市においても、他地域との交流を積極的に進め、新市としてのさらなる発展が期待されるところであります。
 現在、当地域と甲府都市圏との連絡は、国道二十号や百四十号、県道甲府八代線などを中心に行われています。これらの道路は、沿線の宅地化や商業施設の進出、交通量の増加など、地域社会の変化に応じた整備がおくれているため、朝夕を中心に恒常的な交通渋滞が発生しており、児童・生徒を初めとした歩行者の安全確保のためにも、早急に対策を講じる必要があります。
 当地域においては、甲府都市圏の骨格となる新山梨環状道路の東部区間が計画中であるため、新市のまちづくりと整合性のとれた計画性のある道路の整備がおくれているのではないかと思います。
 しかしながら、東部区間は、ことし三月、全線が調査区間に指定され、いよいよ計画の全容が示されるものと、地域の方々ともども大いに期待しているところであります。
 そこで、新山梨環状道路東部区間の早期検討と今後の進め方、また関連する道路の整備について、どう考えておられるのか御所見をお伺いいたします。
 
山本知事 最後に、新山梨環状道路の東部区間及びこれと関連する道路の整備についての御質問にお答えします。
 新山梨環状道路は、甲府都市圏や周辺の地域において、健全で秩序あるまちづくりを進める上で骨格となる道路であり、早期の整備を図る必要があります。
 このうち東部区間は、国道二十号と県で整備を行っている南部区間の甲府市西下条町とを結ぶ、延長約七キロメートルの区間であり、本年三月に調査区間の指定を受けました。
 当区間は、国が整備を行う甲府市桜井町から国道二十号までの北部区間の一部と一体的な計画を策定する必要があることから、国とともに検討を進めているところであります。
 今後は、できる限り早期に地域の皆様の御意見をいただく中で、ルートや構造などの原案を策定し、環境影響評価や都市計画決定に必要な調査を進めていきたいと考えています。
 また、環状道路に接続する国道や県道は、甲府都市圏中心部と他地域を放射状に結んでおり、環状道路の持つバイパス効果や分散効果などをより高めるためには、これらの整備が不可欠であります。
 このため、新山梨環状道路と関連する国道百四十号や県道甲府八代線などについては、通行の支障となっている区間を中心に整備を行っていく考えであります。
 以上をもって私の答弁といたします。その他につきましては、担当の部長から答弁いたさせます。

5.環境緑化への取り組みについて
山下
 次に、環境緑化への取り組みについてお伺いいたします。
 本県は、言うまでもなく、富士山、八ヶ岳、南アルプスなど数多くのすばらしい山々があり、また、他県にはない広大な県有林を有する、全国でも有数の森林県であります。
 これらふるさとの山々や森林は、豊かな緑、さわやかな空気、清らかな水など、はかり知れない大自然の恵みを与えてくれます。
 一方で、身近な緑というものも、快適な生活環境を維持するためには大変重要な存在であります。木々のつくり出す緑の空間は、人々の生活に潤いと安らぎを与えてくれるとともに、大気の浄化や防災面などでも重要な役割を果たしております。
 また、景観や町並みに配慮した緑づくりは、山梨県らしい地域の個性や魅力の創出にも役立つはずです。
 特に、全国の気象台、測候所で観測した中でも過去二番目となる最高気温四〇・四度を甲府市で記録するなど、夏の猛暑が厳しい本県においては、屋上緑化や壁面緑化などの緑化手法は、自然の力を利用した環境に優しい暑さ対策として大変有効であると思います。
 しかしながら、本県は、周囲の緑豊かな自然環境に比べ、市街地における身近な生活環境に目を向けますと、必ずしも緑が豊かであるとは言えない状況にあります。
 昨年度、県が策定した新たな緑化計画によれば、本県は市街地において樹木による緑が少ないという調査結果が出ております。
 そこで、県においては、新たな緑化計画の策定を機に、ぜひ山梨県らしい緑豊かな身近な生活環境の創造、保全に取り組んでいただきたいと考えます。
 そのためには、公園や道路、公共施設などの緑化を推進するとともに、県民一人一人の緑に対する関心を高めていくことも重要であると考えます。今後、県では環境緑化にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 
森林環境部長 山下議員の環境緑化への取り組みについての御質問にお答えいたします。
 豊かな緑は、安らぎの場の創出、景観面の向上、防災機能など、多くの機能を有しています。
 また、県民の緑に対するニーズも、地球温暖化防止を初めとする緑の持つ多面的機能への期待や、屋上緑化などのさまざまな緑化手法の導入など多様化しております。
 こうした中で、県では、昨年度「緑のある風景の保全と創造」を基本目標とした新たな緑化計画を策定しました。
 この緑化計画では、緑づくりに関する各種の指標を設定するとともに、緑の「創造」「活用」「保全」の視点から緑づくりへの取り組みを進めていくこととしています。
 具体的な取り組みといたしましては、公共施設等に配布する緑化樹をフジザクラ、カエデなどの郷土種を中心としたものとし、地域の特性に合った緑づくりをなお一層推進することとしております。
 さらに、県民の緑に対する理解と関心を深めるため、緑の教室や緑化相談、緑サポーター養成研修などの事業に加え、新たに緑のボランティアに対する支援制度などを創設いたしました。
 今後、これらの事業を進める中で、緑の持つ機能や役割を有効に活用して、それぞれの地域にふさわしい特色ある緑づくりを進めていきたいと考えております。
 以上でございます。

6.本県農業を担う農業生産法人の育成について
山下
 次に、本県農業を担う農業生産法人の育成についてお伺いいたします。
 本県の農業は、農業者の先見性と高度な生産技術の確立等により、果樹、野菜、花きなどを中心に生産性の高い農業経営を実現してきました。
 この農業形態のほとんどは、家族労働力を主体とした家族経営であり、今日の本県農業の発展を支えてきたのは家族経営であると言っても過言ではありません。
 しかしながら、現状の家族経営において、新規就農者が思うように確保できない状況や、農業従事者の高齢化が進んでいること、農地の利用集積が図られていないといった実態から見ますと、今後の農地利用や生産活動には家族経営だけでは限界があると思います。
 こうした中で、本県農業の維持・発展を図るには、農業経営の一つの形態として、雇用労働力の確保による大規模な経営を行ったり、生産、加工、販売やその他事業を多角的に実施したりすることができる農業生産法人を育成していくことが必要であると考えます。
 全国の状況を見ますと、農業生産法人としておおむね七千に上る法人が育成され、畜産や稲作、野菜生産などさまざまな経営に携わっており、これら農業生産法人の多くは、地域農業をリードするとともに、他産業とも肩を並べるような法人経営も出てきていると伺っております。
 さらに、現行の農地法のもとでは農地の権利取得が認められていない一般の株式会社にあっても、「構造改革特区」に限って農業への参入が認められており、各地において積極的な取り組みが行われているところであります。
 こうした農業生産法人等の取り組みは、地域農業の活性化や耕作放棄地の解消につながるものとして期待しているところであります。
 そこで、本県の農業の担い手として、農業生産法人の育成にどのように取り組んでいくのか御所見をお伺いいたします。

農政部長 山下議員の御質問にお答えします。
 まず、本県農業を担う農業生産法人の育成についてであります。
 農業従事者の高齢化と担い手の減少、それに伴う遊休農地の増加と生産力の低下など、多くの課題を抱えた農業を活力ある産業とするためには、さまざまなノウハウを持ち合わせた人々の農業への参入を促進することが重要であります。
 このため、先進的な生産と加工技術、流通・販売やマーケティングなど、幅広い分野の専門知識を集積した農業経営体である農業生産法人の確保・育成に取り組んでいるところであります。
 これまで農業改良普及センターが中心となり、法人化に向けた啓発活動や人材育成、また農地集積、労働力確保、税制相談などの指導に努めてきました。
 こうした取り組みにより、既に三十三の農業生産法人が誕生しており、延べ百十ヘクタールに及ぶ水稲の請負耕作や、肉牛千三百頭を飼育する大規模畜産など、地域農業を先導する企業的な経営体も育ってきています。
 今後におきましても、地域農業の振興を基本としながら、十年間で九十の農業生産法人の確保を目指すとともに、本県農業を担う経営体となるよう、市町村や関係農業団体と一体となって、法人化に向けた指導・支援に努めていきたいと考えています。

山下 最後に、東八代地域の農業基盤の整備についてであります。
 本県の果樹農業は、首都圏に隣接する立地条件や果樹に適した自然条件を生かしながら、全国有数の落葉果樹の産地として発展してきました。
 中でも、東八地域は、幾つもの河川がつくった扇状地を中心に、桃やぶどうなどの果樹園が広がり、桃の栽培面積は県全体の四割を超えるとともに、ぶどうにおいても三割近くを占めるなど、本県の代表的な果樹産地であります。
 春、桃の花の咲く季節にこの地域を眺めますと、ピンクの絨毯を敷き詰めたような景色となり、まさしく桃源郷そのものであります。この美しい景観や新鮮でおいしい果物を求めて多くの観光客が訪れており、全国に名高い石和温泉郷とともに、この地域の果樹農業は本県の観光の中心的存在であります。
 このような中、県においては、果樹農業の維持・発展のため、畑総事業や広域農道を初め、さまざまな事業を導入されてきました。
 しかしながら、当地域においては、いまだ狭小で不整形な圃場も多く、農作業の効率化や省力化に支障を来すとともに、果樹農業の発展を図る上で大きな障害となっております。
 私は、この地域の基幹産業として果樹農業を今後とも守り育て、県内屈指の果樹産地とすぐれた景観を次世代に引き継いでいくことを真に願っているものであります。
 このためには、農家が意欲を持って果樹経営に取り組めるような作業条件や生産基盤の整備を進めるとともに、観光地と果樹地帯のアクセス向上を図るための道路や、観光客が農業体験を行えるような果樹園の整備なども重要であると考えます。
 そこで、東八地域の果樹農業の一層の活性化を図るために、農業基盤の整備にどのように取りくんでいかれるのかお伺いいたします。
 以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。

農政部長 次に、東八代地域の農業基盤の整備についてであります。
 東八代地域では、これまでに笛吹川畑地かんがい事業による農業用水の確保や金川曽根広域農道の整備など、果樹産地形成のための農業基盤整備を進めてきました。
 このことにより、果樹の品質向上や安定生産が可能となり、また、広域農道沿いには集出荷施設が整備され、農産物の流通の合理化が図られてきています。
 しかしながら、この地域が果樹産地としてさらに発展していくためには、農業生産性の向上とともに、観光農業の展開を図ることが重要であります。
 このため、現在、一宮町や豊富村において畑総事業や中山間総合整備事業を進めているところであり、今後におきましても、関係市町村と連携する中で、農業経営の効率化や都市と農村の交流が一層図れるよう、農業基盤の整備に取り組んでいきたいと考えています。
 以上であります。

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