平成23年11月県議会定例会 代表質問(12月5日)
山下 明全会の山下でございます。会派を代表して質問に入ります。
横内知事には、大変厳しい社会経済情勢の中で、県民の先頭に立ち、県政課題に挑戦されております。今後も、県民が自信と誇りを持って生活できる県づくりのため、ますます御活躍されますことを期待申し上げ、以下質問に入ります。

1. TPP交渉参加に当たっての対応について
(1) 本県影響額等の試算・公表について
山下
 最初に、TPP交渉参加に当たっての対応についてであります。
 まず、本県影響額等の試算・公表についてであります。
 去る十一月十二日に開催されたアジア・太平洋経済協力会議の首脳会議に先立ち、野田総理大臣から、TPP協定への交渉参加に向けて関係国との協議に入ることが発表されました。
 このTPPは、昨年十月の菅前総理大臣の所信表明において、東アジア地域の安定と繁栄に向けての施策として、唐突に発表されましたが、その後の三月に起こった東日本大震災以降、なかなか具体的な検討が進んでいませんでした。
 こうした中、推進派と慎重派に分かれ、国論が二分しているさなかに、国民的な理解が十分に得られないにもかかわらず、政府で一方的に交渉参加が決定されたことから、野党はもとより、与党の中でも、大きな反対の声が巻き起こっています。
 これまで我が国は、ASEAN諸国を中心に十三の国や地域と粘り強い交渉を重ねながら、EPAやFTAなどの協定を締結してきました。
 これらは、締結国間の貿易量または品目数の九割について、十年以内に関税を順次、撤廃するというもので、残る一割程度の品目については、関税撤廃から除外または再協議等の例外的な対応が可能という柔軟なものであることから、国内産業への影響を十分に考慮しながら、相手国との交渉を進めることができました。
 一方、TPPも、EPAやFTAの一種ではありますが、原則十年以内の関税の撤廃が必要とされており、全品目の約九割を即時撤廃とし、そのほかについても原則十年以内に段階的に撤廃するという極めて厳しい内容となっています。
 また、関税撤廃の例外も、チリの砂糖やブルネイの酒・タバコなど、全体の一%に満たないもののみに制限されており、農業を初めとする国内産業への影響が大変懸念されています。
 私は、グローバル化が進展する中で、我が国の製造業等を今後とも発展させるためには、関税の引き下げを含む諸外国との経済連携を計画的に進めることは必要不可欠だと思います。
 しかし、それは、協定締結の影響調査を十分に行い、真に我が国に利益があると考えられる場合に限定するとともに、多国間のTPPに限定することなく、場合によっては二国間のFTAやASEANプラス3なども含め、多角的に検討すべきと考えます。
 こうしたことを踏まえ、TPPを締結した場合、本県の製造業でどのくらいの雇用増が見込まれるのか。また、本県農業の生産額がどのくらい落ち込むのかなど、本県経済全体への影響について詳細に調査・分析し、具体的な数値として早急に公表すべきと考えます。
 農林水産省でも農産物への影響額を公表していますが、対象品目が、米や麦など関税率一〇%以上、国内生産額十億円以上の十九品目に限られていることから、本県農業の主要産品である、ぶどうや桃などは含まれておらず、生産農家の不安にもつながっています。
 県は去る十一月八日に「TPP協定締結による影響予測について」を公表されましたが、具体的な影響額等については試算されていません。
 既に都道府県レベルでも、北海道や岩手県、沖縄県では、道県内の生産額や雇用への影響を試算・公表しており、これらを踏まえ、本県でも早急に試算をすべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。

知事政策局長 山下議員のTPP交渉参加におけます本県影響額等の試算・公表についての御質問にお答えを申し上げます。
 TPP協定参加によります影響額につきましては、議員の御指摘のとおり、幾つかの道県で試算が行われておりますが、農業分野では、米や麦など、国が算定に用いました十九の試算対象品目の中から、それぞれ各県の実情に即した品目を抽出いたしまして、これらについて国が試算した算式に各県の数値を置きかえる、これらの方式によりまして、国の算定方式に準拠した形で、試算が行われております。
 しかし本県におきましては、御案内のように、ぶどうや桃といった、国が行いました試算の対象品目に選定されていない果樹が農産物の主力であるという、他県とは異なる特性がございますことから、国の算定方式に準拠した試算では、本県農業についての的確な予測にはならないと考えております。
 また、果樹でございますが、他の品目との競合関係など、不明確な要素が多いことから、プラスあるいはマイナスの影響額等につきまして、県独自で試算することは非常に厳しい状況でございます。
 また一方、機械電子産業など輸出関連製造業におきましては、TPP参加にプラスの効果があると言われておりますが、国の算定では、参加した場合の輸出拡大効果についての算定方式が示されていないということや、また、本県の輸出関連製造業は中小企業が多いことから、その波及効果が不透明であるということがございまして、本県に及ぼす影響を一律に算定するというのは困難な状況でございます。
 このため、今後、国におきまして、新たな試算の方式、あるいは詳細なデータ等が公表されまして、都道府県レベルにおきましても推計が可能となりました場合には、本県に及ぼす影響額について試算、そして公表をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

 (2) 農業振興について
山下
 次に、TPP交渉参加を契機とした農業の振興について伺います。
 TPPに参加する、しないにかかわらず、貿易の自由化の方向にありますが、農業については、関税を引き下げれば、安価な海外の農産物の輸入が増加し、米などの基幹的な作物が影響を受けることが考えられます。また、今後、食料については恒常的に不足することが見込まれており、一たび世界規模の飢饉などが起これば、取り返しのつかない事態となってしまいます。
 加えて、本県の農業は、食料生産ばかりではなく、農村コミュニティの維持、県土の保全などの役割を果たすとともに、果樹園を中心とする農村景観は全国に誇れる美しいものであることから、農業の振興が不可欠です。
 担い手不足の深刻化、農村の活力低下に加え、経済のグローバル化による価格競争の激化といった厳しい状況の中、米や野菜・果樹などに取り組む農家や法人など、本県の多様な担い手の経営の安定が必要であります。
 本県の農業が生き残っていくためには、本県農業の強みを生かし、おいしい、安全・安心、環境にやさしいといった消費者のニーズに即した農業生産こそが必要と考えますが、県では、どのような施策に取り組んでいくのか、お伺いいたします。

横内知事 山下議員の御質問にお答えをいたします。
 ただいまは、明全会を代表されまして、県政各般にわたって御質問をいただきました。
 今後も、県政課題の解決に向けて誠心誠意取り組んでまいりますので、一層の御支援、御協力をお願い申し上げます。
 初めに、TPP交渉参加における農業振興についての御質問でございます。
 本県農業は、農業従事者の高齢化や農産物価格の低迷など、さまざまな課題を抱えておりますけれども、本県の発展に欠かせない重要な産業であることにかわりはなく、TPP交渉の参加の是非にかかわらず、本県農業を魅力あるものにすることが重要でございます。
 このため、県では、現在、本県農業の将来を見据え、その発展に向けた施策の指針であるやまなし農業ルネサンス大綱の改定作業を行っております。
 この大綱におきましては、多様な担い手の確保・育成など、六本の柱から構成しておりますけれども、御質問の、消費者から信頼される安全ですぐれたものづくりということにつきましても、その柱の一つに位置づけまして、今後、重点的に展開をしてまいるつもりであります。
 具体的には、県産農産物の品質の高さなどを消費者にPRする特選農産物認証制度の抜本的な改善や、環境への負荷を軽減した有機農業などを実践する生産者を支援して、栽培面積の拡大を目指す「有機の郷づくり」などを推進いたします。
 また、食の安全・安心の一層の確保に向けた取り組みをさらに推進していくための指針となる条例につきまして、明年四月からの施行を目指して、現在、制定作業を進めているところでございまして、農産物などの生産段階における安全性の確保に関する取り組みを一層強化するとともに、消費者に対する正確な情報提供を促進してまいります。
 こうした取り組みによりまして、安全・安心で高品質、環境に優しい農業生産を促進し、本県ならではの力強い農業の実現を目指してまいりたいと考えております。

2. 林業公社について
山下
 次に、林業公社についてであります。
 去る十一月十一日、知事から、平成二十八年度末をもって林業公社を解散する改革プランが発表されました。我が会派では、これまでも、林業公社の早期解散または不採算林の契約解除など、公社改革に向けた大胆な取り組みを訴えてきたところですが、ようやく解散という方向性が決まりました。遅きに失した感は否めませんが、十五年に及ぶ懸案の解決に向け、大きな一歩を踏み出したことにつきましては、まず評価をいたします。
 今後は、公社を早期に解散し、県民負担をできる限り少なくすることが不可欠であり、県におきましては、こうした視点で公社改革を進めていただきたいと思います。
 そこで、過日示された公社解散のスキーム等について、何点か質問いたします。
 まず、公社の早期解散手法についてであります。
 今回の改革案は、七千七百ヘクタールに及ぶ分収林を三つの手法に分け、最大で四十年も契約期間を延長することから、事業が完了するのは、八十四年後の二〇九四年度となっています。
 この事業終了時点では四十一億円の黒字となるとのことですが、これは現在の木材価格を前提としたものであり、長期的に大幅な低下傾向にある国産材価格から考えますと、さらに損失が膨らむことも十分想定されます。
 また、事業の長期化に伴い、所有者の相続等によるトラブルなども考えられることから、早期に処理する必要があると思われます。
 そこで、現在、公社の持つ立木の所有権六割を土地所有者に譲渡し、早期に公社を解散することをお考えになったほうがいいのではないでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。

 横内知事 次に、林業公社についての御質問でございます。
 まず、公社の持つ所有権を土地所有者に譲渡して、早期に解散したほうがよいのではないかという御質問でありますけれども、公社の分収林は、森林整備に必要な資金や技術力を持たない土地所有者にかわりまして、人工林の造成を行ってきたものでございます。
 公社設立当初に契約を行った森林は、既に伐期を迎えつつある中で、昨年十二月に実施したアンケート調査の結果におきましても、木材価格が低迷している現状から、土地所有者の森林の再整備に対する意欲は高くない状況にあります。
 また、分収林は、比較的林齢の若い森林も多く、今後二十年程度は除伐やつる切りといった保育作業が必要な状況にございまして、こうした現下の情勢を踏まえますと、土地所有者に所有権を譲渡することは荒廃森林の増加につながりまして、将来的には、森林の再整備に新たな県民負担を招くことになるものと考えられます。
 このため、現行ではおおむね五十年としている契約期間を延長するとともに、公社廃止後の分収林の管理を県に移管した上で、天然力を活用した広葉樹林への移行を促すなど、公益的機能に配慮した森づくりを進めていくことにしております。

3.第三セクター等改革推進債の活用を視野に入れた公社廃止の早期化について
山下
 次に、第三セクター等改革推進債の活用を視野に入れた公社廃止の早期化についてであります。
 改革プランでは、公社の債務処理について、第三セクター等改革推進債の活用を検討したものの、その期限が平成二十五年度限りであることから、平成二十九年三月の公社廃止時には、県が債務を継承せざるを得ないとしております。
 この平成二十八年度末というのは、来年四月から本庁及び各林務環境事務所に十五名の専任職員を配置し、分収割合変更の同意を得ることを前提としたものであります。
 確かに本県では、約五千人に上る所有者から合意を得る必要がありますが、本県の分収林の契約面積は全国平均の六割程度と少ない中で、他県の例を見ますと、広島県では、本県のほぼ二倍に当たる二十八名のプロパー職員により、平成二十五年度までの同意取得を目指しています。
 本県でも、現場を熟知する退職者を再任用職員として雇用し、契約変更のペースを上げることにより、公社廃止時期を前倒しし、第三セクター等改革推進債を活用することはできないのか、お伺いいたします。
 また、第三セクター等改革推進債は、経済財政改革の基本方針二〇〇八に「経営が著しく悪化したことが明らかになった第三セクター等の経営改革を進める」ことが位置づけられたため、地方財政法を改正し、平成二十五年度までの特例措置として認められたものであります。
 しかし、林業公社の改革がここまでおくれたのは、森林資産の評価基準について、林業公社の全国組織による検討作業が行われてきたことなどもあり、正確な資産・負債の把握に時間がかかったことが大きいと考えます。
 他県でも、林業公社の廃止等まで踏み込めたのは数県だけであり、こうした状況を斟酌し、適用期間を延長するよう、国に働きかけるべきと考えますが、いかがでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。

横内知事 次に、第三セクター等改革推進債を活用して、公社を早く廃止したらどうかという御質問についてでございますが、公社の改革に当たりましては、公社廃止と分収林の県への移管の同意に加えまして、契約期間の延長や分収割合の見直しについて、約五千人の土地所有者の御理解をいただいた上で、契約変更を行っていく必要があります。
 これらの手続につきましては、他県の取り組み状況とか、本県の契約件数等を総合的に勘案すると、五年程度が必要と考えられまして、平成二十五年度が発行期限とされている第三セクター等改革推進債の活用は、現時点では困難なものと考えております。
 今後におきましては、庁内の実施体制の強化を図るとともに、県下四地区に、林業関係者により設置する協議会や公社との強力な連携のもとで、改革期間の短縮が極力図られるよう努めてまいりたいと考えております。
 また、公社が行ってきた分収林事業は、国の拡大造林政策に沿って進めてきたことなどを踏まえまして、国に対しましては、第三セクター等改革推進債の期間の延長とか森林整備に対する支援の拡充などにつきまして、他県とともに連携をしながら、引き続き、強力に要請をしていきたいと考えております。

4. 中小企業高度化資金の処理策について
山下
 次に、中小企業高度化資金の処理策について伺います。
 県が融資した中小企業高度化資金のうち、約百十一億円が不良債権となりました。
 この中には、五十五億円の融資を受けながら、償還据置期間の三年が経過すると同時に、一度も返済することなく自己破産した組合もあります。
 県は、この破産した組合の債務を新たな企業に引き受けさせましたが、この企業も、二年間にわずか五百万円を償還しただけで、それ以降は返済が滞っています。
 また、県は、高度化資金の償還金が計画どおり返済されなくても、未償還額をその都度処理することなく、償還計画を変更し、後年度に先送りしてきました。
 このように、明らかに経営状況が悪化しているにもかかわらず、追加担保を徴することも、連帯保証人に請求することもしなかったため、被害が拡大したものもあります。
 また、平成二十年二月に株式会社整理回収機構に約百十一億円の不良債権の回収を委託しましたが、二億二千万円の委託料を払いながら、回収額はわずか約三億九千万円で、実質的な回収額は一億七千万円にとどまっております。
 これは、実質的に不良債権化してから長い年月がたって回収委託を行ったことが原因ではないでしょうか。
 そこでまず、県の貸付審査は適切であったのか。また、今日に至るまでの間、正しく債権管理は行われていたのか、お伺いいたします。
 
次に、県は、整理回収機構が来年度から回収業務の委託を受けられないことになったことから、十月二十八日に不良債権の処理方針を検討していただく中小企業高度化資金に関する第三者委員会を設置し、一カ月後の先月二十八日には不良債権の処理方針に関する中間報告書の提出がありました。
 県民の税金が使われている百億円余の債権の処理をわずか一カ月程度の検討で結論を出させるのは、余りにも拙速であり、これまで他人任せにしてきた百億円にも上る不良債権の回収方策については、今度こそ失敗のないよう、じっくり考えるべきと考えます。
 今回提出されました中間報告書では、県による回収、新たな債権回収会社への回収委託、第三者への債権譲渡という三つの方策を示し、県民負担を最小とする観点から、第三者への債権譲渡の道を探ることが適当であるとしておりますが、それぞれの方策について、どれぐらいの県民負担が生じるのか、明示されていません。
 そこで、それぞれの方策を選んだ場合の県民負担を示し、慎重に検討した上で、最も有利な方策を選択すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

横内知事 次に、中小企業高度化資金の処理策についてでございます。
 まず、県の貸付審査につきましては、県と高度化資金を所管していた当時の中小企業事業団とが、診断、指導などを行いまして、事業計画、資金計画等を審査した上で、貸し付けたものでございます。
 また、債権管理につきましては、平成十九年度までは、高度化資金を所管する国の中小企業基盤整備機構との協議によりまして、その承認を受けて償還を猶予してきたわけでありますが、その後、国の方針が、不良債権の処理を促進する方向に変わりましたことから、本県においても、株式会社整理回収機構に委託をして、鋭意、回収に努めてきたところでございます。
 これら貸付審査あるいは債権管理が適切であったかどうかにつきましては、第三者委員会において、引き続き厳正に調査していただくこととしております。

 次に、不良債権の処理方策についてでございますが、第三者委員会は、十月二十八日から週一回のペースで、これまで四回開催されまして、各回とも午前中から夕方まで、終日、精力的に調査、審議をしていただいてきたところでありまして、弁護士、公認会計士、金融の専門家のお立場から、十分な審査を行っていただいていると考えております。
 今般の中間報告によりますと、既に回収についてのとり得る手段が尽くされており、県職員または他の債権回収業者により回収を継続しても、見込むことができる回収額は限定的である一方で、委託料、法的手続費用、職員人件費などの経費のほうが、これを大幅に上回るものとされております。
 また、今の国の制度では、債権放棄や債権譲渡の手続をとることによりまして、県が中小機構から借り入れている元金及び利息、五十八億円余でございます。並びに、現時点での違約金十九億円余、合計しまして七十七億円余の支払いが免除されることになっておりますけれども、これらの手続をとらない場合は、この七十七億円余が免除されないばかりか、違約金が今後さらに増大することとなってまいります。
 このため、第三者委員会からは、違約金の増大に加えて、今後、中小機構の免除条件が変更された場合には、中小機構からの借入金等の支払い免除が受けられないリスクもあるという指摘も受けております。
 一方、第三者への債権譲渡は、高額での売却は期待できませんけれども、将来にわたる費用負担がなく、県民負担は最も小さいことから、債権譲渡の道を探ることが適当という御提言をいただいたところであります。
 今後は、この第三者委員会の御提言を踏まえまして、県議会で十分、御議論をいただき、できるだけ早い時期に処理方針を定めてまいりたいと考えております。

 5. 峡東地域の建設業者の指名停止期間の短縮について
山下
 次に、峡東地域の建設業者の指名停止期間の短縮について伺います。
 横内知事は、本年四月二十七日、公正取引委員会から独占禁止法違反として排除措置命令を受けた峡東地域の建設業者三十六社を、指名停止等措置要領にのっとって指名停止を行いました。
 この指名停止等措置要領は、平成十九年四月に、横内知事が就任直後に談合の再発防止をするため、指名停止期間を最低十二カ月から最高二十四カ月と厳しく改正したものであります。
 しかし、横内知事は、改正した指名停止等措置要領にのっとり、みずからが決定した十二カ月または十五カ月の指名停止期間を七カ月または約九カ月に短縮いたしました。
 その理由として、九月の定例会で、峡東地域の三十六社の指名停止期間を二分の一に短縮することを求める請願が採択されたこと。県が実施した地域経済や雇用の聞き取り調査の結果、年末から年始にかけて廃業や倒産の危険性が非常に高く、これが現実のものとなった場合は、地域経済、雇用全体に波及することが確認されたこと。災害発生時の緊急対応などの担い手となる建設業者の減少によって、住民生活への影響も懸念されることなどを挙げられております。
 また、指名停止等措置要領は全国知事会の決定に基づいて厳罰化したと記者会見で述べられております。都道府県によっては、独自の考えで措置要領を制定したところもあります。この分野に知識も経験もある横内知事が、知事会の決定どおり要領を制定したのは疑問に思います。
 知事は、この措置要領にのっとり、十二カ月ないし二十四カ月の指名停止を行えば、受注量のほとんどを公共事業に頼っている本県の建設業界の状況から見て、解雇者や倒産が発生することは当然予測できたはずであります。
 知事は、十一月二十四日の記者会見で、「これだけ大きな影響が生じて来るところまでは予想しておりませんでした」とお答えになりました。
 そこで、この措置要領を制定した段階で、地域経済にどのくらいの影響があると予想していたのか、御所見をお伺いいたします。
 また、このたびの指名停止期間の短縮により、この要領は談合再発防止の抑止を失い、形骸化していると思われますが、今後の再発防止策について、どのように考えているのか、お伺いいたします。

 横内知事 最後に、峡東地域の建設業者の指名停止期間の短縮についてでございます。
 談合は、公共工事の発注における自由な競争を阻害するものでありまして、また、県民の信頼を裏切るものとして、決して容認できるものではございません。
 平成十九年四月、談合防止策として、指名停止等措置要領を改正いたしまして、独占禁止法違反行為に対するペナルティーを強化いたしました。
 これは、談合の防止という観点から、指名停止期間を一年以上としたものでございますけれども、長期間の指名停止が、会社経営や地域経済に一定の影響を及ぼすことは、当時、想定していたところでございます。
 しかし、今回の場合、調査によりますと、談合の再発防止の効果を超えて、地域の経済や雇用に、想定をはるかに上回る回復困難な大きな打撃を与えるおそれがあることが判明いたしまして、これは、地域の経済や雇用に責任を持つ県としては到底、看過できないことから、要領の「情状酌量すべき特別な事由」として、短縮はやむを得ないと判断したものでございます。
 なお、全国知事会の決定に基づいて、指名停止措置の強化が行われた平成十九年以降、公正取引委員会の排除措置命令等を受けて、十二カ月以上の指名停止を行うべき県と市の事案は、本県を含めまして、全国で八事案ございました。そのうち、この十月中旬、ごく最近に指名停止が行われたばかりの一事案──これは石川県でございますが──を除き、残りの七事案すべてにおいて、期間が二分の一──本県は十二分の七でございますが──に短縮されております。
 次に、再発防止についてでありますが、これまでも、談合を防止するため、電子入札の導入や一般競争入札の拡大、総合評価落札方式の導入などを進めてまいりました。
 今回、公正取引委員会が排除措置命令を出したことを受けまして、建設業協会に対し、会員の意識改革・資質の向上及び関係法令の遵守について、強く指導したところであります。
 さらに、公正取引委員会から受注調整があったと指摘された総合評価落札方式につきましては、入札参加者の技術者ヒアリングを試行するとともに、施工計画書の審査を徹底するなどの対応策を講じてまいったところであります。
 今後も、入札監視委員会などの御意見を伺いながら、さらなる競争性の確保に努めるなど、談合の防止策を強化してまいります。
 なお、今回の要領に基づく指名停止は、調査の結果、会社経営に大きな影響を及ぼしていることが判明しており、ペナルティーとしての役割は十分に果たしたと考えております。
 今後も、仮に同様の事案が発生した場合には、要領にのっとり、厳正な措置を講じてまいります。
 以上をもって、私の答弁といたします。その他につきましては担当部長等からお答えをさせていただきます。

6. 県立中高一貫校の設置について
山下
 最後に、県立中高一貫校の設置について、幾つかお伺いします。
 中高一貫教育は、今から十四年以上前の「二十一世紀を展望した我が国の教育のあり方について」との中央教育審議会の答申を踏まえ、平成十一年四月に制度化されたものであります。
 この答申を踏まえ、本県においても、平成十年六月の山梨県中高一貫教育研究会議を皮切りに、数多くの協議会で、七年にもわたる検討が続けられてきましたが、結局、結論が出ていません。
 その後、平成十九年度に全県一学区入試制度が導入されることになったため、設置の必要性を基本から洗い直した上で、場所や時期、形態について検討を進めることが、県立高等学校整備基本構想に盛り込まれました。
 昨年六月に設置された庁内検討委員会では、周辺中学校への影響や財政負担などの視点から総合的に検討が加えられ、高校にストレートで進学する中学校を新設する、いわゆる併設型の導入を念頭に、山梨県高等学校審議会で議論が行われることとなりました。
 同審議会では、受験競争の低年齢化を助長する可能性があることや、設置が想定される甲府地域への偏重傾向が進みかねないといったことから、慎重論が相次いでいましたが、県教育委員会が、簡便な入試で、地元の中学校から地域との結びつきの強い高校に進学できる、いわゆる連携型へと方向性を転換したことから、導入容認論が広がり、今月開かれる第五回審議会で、意見集約が行われる見込みとのことです。
 しかし、同じ中高一貫校とはいえ、併設型と連携型では、目指すものが全く異なっており、県立で設置できれば、学校の中身は何でもよいのかと、定見のなさにあきれるとともに、庁内検討委員会でどの程度、真剣に議論されたのか疑いたくなります。
 私が、連携型中高一貫校について調査したある学校では、連携中学校からの進学はわずか一三%程度しかなく、また、授業の交流も、週三日、それぞれの学校の英語の教師を派遣し合うのみ。さらに交流人事も、数学など三教科について三年間担任し、卒業させて戻るというもので、この程度の交流であれば、わざわざ中高一貫校とすることはなく、カリキュラムの編成や人事異動上の配慮などで十分対応ができると思います。
 私は、全国であと四県しか未設置県がないからといって、拙速に中高一貫校の導入を進めるべきではないと思います。
 本県が目指す中高一貫校の教育の方向性や、そこに学ぶ生徒についての明確なイメージを持ち、そのために必要なものをじっくりと選ぶべきだと思います。
 例えば、今後、急速に進行する高齢化に備え、地域の医療を支える人材を育成するため、医・歯・薬・看護系の大学などを目指す生徒を集め、高校の履修を中学に前倒しして、高校において、ふるさとの医療を救うという使命感や医療に従事したいという強固な意志などを醸成する授業を行うという明確な特色を持った中等教育学校などであります。
 そこで、県教育委員会として、どのような中高一貫校を創設し、どういった生徒の育成を目指していくのか、まずお伺いいたします。
 また、庁内検討委員会では、財政負担がないといったメリットがある一方、人材育成効果は少ないとした連携型を導入する場合、県内のどの中学校と連携し、具体的に何を目指すのか、あわせてお伺いいたします。

 次に、本県における中高一貫校の設置数と私学との役割分担についてであります。
 本県においては、私学では駿台甲府、山梨学院大学附属、富士学苑の三校、公立では北杜市立甲陵の一校、計四校が中高一貫校を設置しています。
 国では、私学も含めて中高一貫校を全国で五百校設置することを目指しており、仮に、この五百校を人口割りで設置すると考えますと、人口二十三万人に一校の割合となり、この場合、本県では三校程度が相当で、既に充足していることになります。
 また、他県ではこれまで、県立の中高一貫校が未設置であった鳥取県では、既に私立学校において中高一貫校を設置する方向で検討が進んでおり、さらに、富山県に至っては中高一貫校の議論そのものを凍結しています。
 そこで、今後、本県全体として何校の中高一貫校設置を目指すのか。また、少子化の進行に伴い、生徒数の大幅な減少が見込まれますが、私学の中高一貫校との役割分担をどのように図るのか、あわせてお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

教育委員会委員長 山下議員の県立中高一貫校の設置についての御質問にお答えいたします。
 まず、県教育委員会が目指す中高一貫教育校についてであります。
 中高一貫教育については、本年八月に設置した高等学校審議会において、現在、県立中高一貫教育校の必要性を初めとして、設置の形態や規模など幅広い観点から御審議いただいているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、中高一貫教育校については、魅力ある高校づくりの一環と考えておりまして、仮に設置する場合には、単に大学受験に特化した学校ではなく、幅広い教養を身につけることができるような学校にしたいと考えております。また、中高一貫教育の利点を生かしながら、県内のさまざまな社会経済分野において、次代を担う豊かな人間性を備えた有為な人材の育成を進めていきたいと考えております。
 また、連携型については、先進県では体験学習を通して地域に関する学習を行い、地域の将来を担う人材の育成を目指す事例が多く、設置する場合には、それらを参考に、設置する地域や目的について具体的に検討していくことになります。
 
次に、中高一貫教育校の設置数と、私学等との役割分担についてであります。
 中高一貫教育校の設置数は、併設型、連携型など、設置形態によって大きく異なることから、現時点では具体的に検討する段階ではないと考えております。
 また、私学等との役割分担についてですが、これまで県内の高校教育を公立と私立がそれぞれ特色を生かしながら、協力連携して担ってきたところでありますので、今後も、既存の中高一貫教育校の設置状況、教育内容等を踏まえた上で、検討する必要があると考えております。
 以上でございます。


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